せきどめが入ると、せきが出る不思議

むだな延命なしは、よい傾向」について

2013/9/13 に日経メディカルに載った 倉原優氏の 「こちら呼吸器病棟」 のコラムから。少々古いネタだが、せきどめを入れたらせきが出る  というおもしろさは新しい古いに関係ない   


術者:「咳止めが入りますんで、咳が出まーす!」

患者さん:「ゲホッ!ゲホッ!ゲホーッ!!」

リドカインの手動投与という光景が気管支鏡室で繰り広げられることがあります。

呼吸器内科医にとっては日常的な光景なのですが、初めて気管支鏡を受ける患者さんからすると、全くもって意味不明、不得要領の言葉ですね(笑)。

私たちは、気管支鏡の前にリドカイン (商品名キシロカイン他) を噴霧することで、咽頭・喉頭に局所麻酔をかけます。そうしないと、咳がひどくて検査にならないからです。

そして、気管支鏡を挿入した後も、気管・気管支にリドカインを噴霧します。最近はスプレー式の噴霧の器具をカメラに挿入して、シュシューッと撒きながら気管支鏡を進めていくこともあるようですが、当院は10mLのシリンジを使って気管支鏡のチャネルから手動でビュッと気管にリドカインを投与しています。

おそらく、全国的にも手動でリドカインを投与している病院の方が多いんじゃないでしょうか。

今申し上げたように、呼吸器内科医はリドカインを咳止めとして使っているわけです。しかし、多くの場合、リドカインをビュッ!と気管・気管支に投与すると、患者さんは驚いて咳き込んでしまいます。

そのため、患者さんがびっくりしないようにリドカインを撒く前に 「今から咳止めの薬を入れますよ」 と伝えることがあります。ただ、その咳止めの刺激によって最初は咳が出るかもしれないので 「咳が出ますよ」 とも伝えたい。その結果、端的に伝えるために冒頭のようなセリフができあがってしまったわけです。

「 『咳止めを入れまーす』って先生が言うてくれた割に、咳が出たからほんまどうしようかと思ったわ~」

先日、患者さんにこんなことを言われて、ハタと気付きました。私たちが冒頭のセリフを言うのも、リドカインを入れて咳が出るのも一瞬の出来事。「咳止めを入れる」「咳が出る」という2種類の言葉を気管支鏡検査を受けている患者さんは一瞬で理解しているわけではないのです。

気管支鏡検査の前に、「咳止めを途中で急に入れると最初は急に咳き込むかもしれませんが、次第に効果が出てくるので心配しないで下さい」ときちんと話しておいた方がより親切かもしれませんね。


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック