邦文タイプライターの文字盤

立ち聞き、盗み聞きの朝ドラ」について

NHKの朝ドラで、現在はとと姉ちゃんの常子が職業婦人として和文タイプライターをマスターする場面が多くある。

しかし、若い頃、和文タイピストとして通算10年近く仕事をしていた者としては、タイプの文字盤がアップされるたびに 「違う  」 と思ってしまう。余り堂々と何度もその場面が出るので、私の思い違いかと認知症の文字がちらつく。

調べてみたら、やはり私の記憶が正しかった。   それというのは、文字の並び方が、和文タイプは上下逆に文字盤に並んでいる。つまり漢数字の二だとすると、タイプに向かうときの盤面には長い一の下に短い一が記されている。それをプラテンというゴム製の筒にまきつけた半紙などには正常の文字が印字されるという仕組みだ。


もう少しわかりやすく説明すると、上という文字は、下のような形で盤面に並んでいる。試しに、メモ用紙に上と書いて裏返しにすかしてみると下に見える。複雑な文字も全てそのように上下逆の文字が配列されている。印鑑を逆さにしたようなものだ。 

ドラマの中では、とかがそのままの形になっていた。それ、違うよと、朝ドラを見ながらツッコミを入れることになる。 


ちなみに、第一文字盤と第二文字盤があり、当用漢字などは第一文字盤に収められていて、画数が多くて難しい文字、特に人名などが書類に入っていると、第二文字盤と入れ替えることになる。そのときにうっかり文字盤をひっくり返して活字がばらばらになると個人では手に負えなくて、専門の業者に入れ直してもらうなんて事故  が、私も含めて周囲で何度かあった。 


好きな仕事だった。   画数の少ない文字は力を余り入れず、画数の多い文字はバンと思い切って活字を拾ったハンドルを力強くたたく。そうでないと画数の少ない文字は半紙に穴があいてしまうし、仕上がった書類は濃淡の文字が並び、使い物にならない。

大抵の人は利き手でないとその手加減はできない。が、しかし、 私は左手でもそれができた。昼休みにバレーボールをやっていて右手を突き指したり、手首を痛めたりのけがが絶えなかった。  時々必要に迫られての左手打ちになったわけだが、もともと左手でも文字を書くこと以外は大抵のことはこなせることが幸いした。

ちょっと古いエピソードだけれど、左手ではたきをかけても障子に穴があくことはなかった。友だちは、左手ではほこりが落ちないヨなどといっていた。 野球選手に、左投げ右打ちとか、両刀遣いの選手がいるような ……  私も野球選手として活躍できたかも ……  

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この記事へのコメント

通りすがりの者
2016年05月27日 18:33
タイピストとして活躍されていたのですね、
文字盤が上下逆でないので間違っているとのことですが
戦前の、日本タイプライター社の機械は確かに上下逆でしたが
その他の戦前の会社、大谷タイプライター、菅沼タイプライター、
マツダタイプライター等の製品は、見出し盤の文字は正常表示であり
とと姉ちゃんのタイプライターも間違いでは無いと思います
2016年05月28日 00:25
通りすがりの者さん、コメントありがとうございます。

私は昭和30年代から40年代ですが、戦前もその当時も活字の向きは変わらないと思います。ガイド用の一覧表には正常の文字が書かれています。でも実際のタイプの盤面は逆文字でなければ印字したときに読めません。

ちなみに速記原稿を起こすとき用に個人で東和タイプライタを購入しましたが、勘を取り戻すのに手間どっていたらワープロが出始めて、まだ高価でしたが、即導入しました。もったいないことをした…… 

以下、参考までに文字盤をごらんになってみてください。
http://livedoor.blogimg.jp/imahiro2/imgs/0/e/0e4cb59d.jpg 

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