エキストラ体験 続

エキストラ体験 」について

撮影の休憩時間に、廊下で女優の原日出子さんとすれ違った。何カ月か前に2番目のお子さんを出産したことをニュースで知っていたので 「おめでとう」 と声をかけたかったが、好奇心が旺盛な割にシャイな私  は、会釈をしただけで通り抜けた。


余談だが、姉とハワイ旅行をしたときに、ホテルの部屋に忘れ物をして1人でエレベーターに乗って部屋に戻ったことがある。乗り合わせた外国人のご夫婦が私に話しかけた。横文字に疎い私なので正確な内容はわからないが、どうやら娘さんの結婚式だっといっているようだ。シャイな私なのに、すかさず 「コングラチュレーション」 と声をかけたら大層喜んでくれたので、私の内容の推理が当たっていたのだと思う。  


話をエキストラ体験に戻すと、ロケ弁なるものを食べた。昼食は撮影の区切りのよいところで11時半ころだったが、朝食が早かったので待ち遠しい食事だった。幕の内弁当と缶入りの飲料で、私はウーロン茶にした。 

夕食は、予定のシーンが順調に全部撮り終わったからと、4時ごろにお弁当が出された。何だったか忘れたが、お弁当が大好きな私はおいしいと思って全部食べた。中には 「日が差しているうちから夕飯が食えるか 」とか、「入院しているわけじゃなし」 (確かに  )と、早朝からのロケにつき合って疲れた腹いせに痛烈な冗談をいう人もいた。

休憩でロビーに出たときに、遠くで大声がした。 「何だ、何だ。何がどうした」 と、野次馬根性を駆り立てられた私は、さりげなく、かつ急ぎ足で近づいた。男性が 「パートナーは朝からドレスを着てメーキャップをして待っているのに、出番がないじゃないか。段取りが悪いよ。ドレスを用意してくれというので、わざわざ借りてきた人もいるんだよ。ノーギャラだから、またあした撮ればいいと思っているんだろう。おれたちは会の方から、きょう来てくれといわれて来ているんだよ。責任者を出せ」 と息巻いていた。これは長引きそうなもめ方だ。

実は、エキストラといっても謝礼金はなくて、あくまでも無料奉仕だった。JADAの偉い人たちが、ダンスの普及につながるからギャラなしで協力するということにして、全国のダンスサークル連盟に呼びかけ、各サークルから1日何名ずつという割り当てをして映画出演となった。 

主役の競技会シーンに一緒に出る人や、更衣室のシーンに割り当てられた人は、2級戦出場用のドレスを着なければならなかった。既に自前のドレスを持っている人はいいけれど、ない人は、この日のためにン十万の衣装を新調したり、レンタルした人もいた。茨城県とか千葉県から参加している人たちは、それこそ夜も開けないうちから準備をして来ているわけだから、怒るのも無理はない。

それでいて、後日、招待されて試写会に行くと、控え室のシーンで 「ここにいるはずよ」 という友の声に目を凝らしたが、一瞬のうちに他のシーンに切りかわったので、私はわからなかった。友は、自分がどの辺にいたか覚えていたので 「あっ、後ろ姿がちらっと出ていた」 

本当に、出演した各サークルの皆様ご苦労さまでした。私たちは幸いにもサークルの方から交通費として3,000円支給されたので 「帰りに缶コーヒーぐらいは飲めるから」 と、仲間同士で慰め合った。人いきれで蒸し暑い会場での一日は大変だったが、初体験ができて私はそれなりに楽しかった。

それにしてもエキストラのギャラって一体、幾らぐらいの相場なのか、もらってみたかったと思うのも正直な気持ちである。しかし貴重な体験ができたのだから、ありがたいと思わなくてはなるまい。映画の制作費用が抑えられたという製作者側の感謝の言葉を真に受けよう。

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